1.2. 機能

1.2.1. 使いやすい

ほんの数分もあれば、自分の財務情報を入力し、財務状況を表わしたカラフルなグラフを生成することができます。小切手帳の記録簿を使うことができるなら、GnuCash を使うことができます!記録簿に直接タイプし、フィールド間をタブで移動し、クイックフィルを使って自動的に取引を記入します。インターフェースは、アプリケーション上でカスタマイズすることができます。

  • 使いやすいメニュー: GnuCash のメニューは GNOME ヒューマン・インターフェース・ガイドラインに適合しています。そのため、メニューはシンプルで、他のGNOMEのアプリケーションと見た目も似ています。

  • ドキュメント: GnuCash はヘルプを内蔵していて、ユーザーガイドの文書もたくさんあります。

  • インポート手段: GnuCash では取引を入力する方法として、手動入力以外にもいろいろな方法がサポートされています。オンラインで銀行の口座にアクセスできるなら、特に便利です。ほとんどの銀行やクレジットカード会社では以下のようなインポート手段をサポートしているからです。入力に必要な時間を減らして、結果の分析に多くの時間を回すことができます。

    • Quicken Import File (QIF): 多くの商用個人財務ソフトウェアパッケージでポピュラーな、Quicken の QIF 形式のファイルをインポートします。

    • Open Financial Exchange (OFX): GnuCash は Open Financial Exchange プロトコルをサポートした最初のフリーソフトウェアのアプリケーションです。 多くの金融機関が、この形式に移行し始めています。

    • Home Banking Computer Interface (HBCI): GnuCash はドイツの Home Banking Computer Interface プロトコルをフリーソフトウェアとしては初めてサポートするアプリケーションです。 このプロトコルでは、明細書のダウンロード、銀行間振替の実行、自動引き落としの設定が定義されています。

  • レポート: GnuCash では30以上のレポート出力をあらかじめ組みこんでいます。 勘定科目集計、収益・費用・取引のレポート、貸借対照表、損益計算書、 ポートフォリオ評価、などなどです。 レポートには、パイチャート、バーチャート、散布図などグラフィカルな表示も含まれます。 レポートはHTMLとして出力可能で、簡単にカスタマイズできます。

  • 予定取引: GnuCash では取引の期限になった時に、自動的に取引を作成・入力するか、通知できるようになりました。その際、自動取引を入力する、延期する、取り下げる、といった選択ができます。

  • モーゲージとローン返済ドルイド: ローンの変動支払いの予定取引に使えます。

  • 簡単な科目照合: 統合的な照合機能により、GnuCash の勘定科目と明細書の照合が単純かつ効果的に実行できます。

  • マルチプラットフォームでの互換性: GnuCash はさまざまなプラットフォーム、オペレーティングシステムでサポートされています。 GnuCash v2.0.x で完全にサポートされているオペレーティングシステム (とプラットフォーム)は、GNU/Linux (x86、Sparc、PPC)、FreeBSD (x86)、OpenBSD (x86A)、Solaris (Sparc) そして Mac OS X (PPC) です。 GnuCash の以前のバージョンでは、SGI IRIX (MIPS)、IBM AIX 4.1.5 (RS/6000)、Unixware 7 (Intel) そして SCO OpenServer 5.0.4 (Intel) で動作していました。しかし現在の状況は不明です。

1.2.2. 投資の記録

GnuCash にはたくさんの投資関連機能があります。 単純な定期預金から、公開取引されている株式まで、GnuCash であなたのすべての投資を記録できます。

  • 株式/投資信託のポートフォリオ: 株式を個別(科目ごとに一つ) に、あるいは科目のポートフォリオ (まとめて表示可能な科目を集めたもの) で追跡します。

  • オンラインの株式や投資信託の相場表: GnuCash を使うと、株式の価格を一度に一つずつの調べていく必要はもはやありません。 調べる処理は自動化でき、常に最新の株式の価格を表示することができます。

1.2.3. 全世界をサポート

GnuCash は全世界のユーザーのために動作し、また全世界のユーザーを理解している真のアプリケーションです。 現在の我々が生活するこの世界と付き合うのを手助けする組込みの機能がたくさんあります。

  • 母国語: GnuCash は12の言語について完全に翻訳されています。中国語、チェコ語、オランダ語、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、スロバキア語、スペイン語、そしてスウェーデン語です。 その他にも13の言語で部分的に翻訳されています。

  • 複数の通貨と為替取引: 複数の通貨がサポートされており、売買 (取引) できます。 複式記入が有効化されていると、科目間の通貨の移動は完全にバランスします。

  • 世界の日付の扱い: GnuCash は異った国では日付を違った形式で表記することを知っています。 あなたが慣れ親しんでいる形式で日付を扱うことができます。

  • オンラインの為替相場: GnuCash を使うと、為替の交換レートを一度に一つずつの調べていく必要はもはやありません。 調べる処理は自動化でき、各科目の希望する通貨での金額を、常に最新の為替レートで表示することができます。

1.2.4. ビジネスのサポート

GnuCash には企業会計の世界で必要とされるものをサポートする多くの機能があります。

  • 売掛・買掛金: GnuCash では売掛金、買掛金を統合的に扱うことができます。 得意先、仕入先、請求書や、請求書支払いを記録したり、小規模事業者で異なった税額や請求期間を使用することができます。

  • 減価償却: GnuCash を使って、資産の減価償却を記録することができます。

  • レポート: GnuCash ではすぐに使える様々な種類のビジネス用のレポートを用意しています。

1.2.5. 会計の機能

会計に詳しい方のために、GnuCash の会計関連の機能をリストッアップしておきます。

  • 複式簿記: すべての取引において、同じ額を借方と貸方に記入します。 これによって「帳簿のバランス」が保証されます。つまり、収益と費用の差額が、銀行口座、現金、株、そして他のすべての資産の総計と完全に一致します。

  • スプリット取引: 税金や手数料などなど、複数のやりとりの組み合わせを記録するために、一つの取引を複数の要素に分割することができます。

  • 勘定科目表: 親勘定科目の下の階層により詳しい勘定科目を含めることができます。 この機能によって、現金、銀行、株式など似たような勘定科目を「資産」といった親勘定科目にまとめることができます。

  • 総勘定元帳: 記録簿のウインドウ一つに複数の勘定科目を同時に表示することができます。 この機能は、打ち間違い、入力間違いを調べるために便利です。 ポートフォリオ中のすべての取引を表示することで、たくさんの株式のポートフォリオを簡単に見ることができます。

  • 収益・費用の種別(カテゴリー): この機能によってキャッシュフローを分類します。そして複式簿記機能を適切に使うことで、損益計算書を正確に作成します。

1.2.6. バージョン2.0での新機能

  • Gnome 2.0 (Gtk2)

    GnuCashは最新版のgtkを使っており、Gnom2のヒューマンインファーフェイスガイドラインの標準に準拠しています。

  • UTF-8をサポート

    GnuCashはUTF-8を使うことで、各国固有な文字セットを読み書きできます。

  • 予算

    GnuCashに予算機能が加わりました。これにより、支出をコントロールするのに役立ちます。

  • MT940ファイルのインポート

    MT940形式(いくつかの銀行からダウンロードできます)で記録された取引データをインポートできるようになりました。

  • 不具合の修正

    GnuCash は2.0になる前に長期のテスト期間がおかれ、また、より安定し成熟したライブラリ(たとえばgtk2)を着くことにより、より安定し、安全になりました。 GnuCash のあらゆる箇所にてたくさんの修正が施されており、個別の修正箇所を詳しく紹介するには多すぎるくらいです。